東京都渋谷区のビル1室で、過去5年間に3000社以上の法人が設立されていたことが話題となっています。
「同じ住所に3000社もあるなんて本当?」
「バーチャルオフィスって怪しいの?」
「違法ではないの?」
このような疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
この記事では、渋谷のビル1室で3000社が起業した理由や、バーチャルオフィスの仕組み、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
渋谷のビル1室で3000社起業とは?
帝国データバンクの調査によると、東京都渋谷区道玄坂にあるビルの2階では、2021年から2025年までの5年間で3309社が法人登記を行っていました。
一見すると「1つの部屋に3000社も存在するの?」と驚いてしまいますが、実際に3000社が同じ部屋で仕事をしているわけではありません。
この住所は「バーチャルオフィス」と呼ばれるサービスの住所だったため、多くの会社が法人登記の住所として利用していたのです。
同様のケースは渋谷区神宮前や中央区銀座など東京都内でも複数確認されており、近年増加傾向にあると報じられています。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、実際にオフィスを借りずに「住所だけ」を利用できるサービスです。
会社設立時に必要となる本店所在地として利用できるほか、次のようなサービスを提供する事業者もあります。
- 法人登記用住所の貸し出し
- 郵便物の受け取り・転送
- 電話番号の貸し出し
- 電話代行サービス
- 会議室やラウンジの利用
最近では、必要なときだけ会議室を利用できる「高機能型バーチャルオフィス」も増えており、スタートアップ企業やフリーランス、副業事業者などを中心に利用が広がっています。
なぜ同じ住所で何千社も登記できるの?
会社法や商業登記のルールでは、実在する住所であれば、同じ住所に複数の法人が登記すること自体は禁止されていません。
つまり、
- 架空の住所ではない
- 同一住所・同一商号ではない
といった条件を満たせば、同じ住所に多数の法人が登記することは可能です。
そのため、バーチャルオフィスを提供する住所には数百社、多いところでは数千社が法人登記しているケースも珍しくありません。
バーチャルオフィスが増えている理由
バーチャルオフィスの利用者が増えている背景には、働き方やビジネス環境の変化があります。
主な理由は次のとおりです。
起業コストを抑えられる
都心で事務所を借りると高額な家賃や保証金が必要になります。
一方、バーチャルオフィスなら月数百円から利用できるサービスもあり、創業時の固定費を大きく抑えられます。
自宅住所を公開しなくて済む
会社を設立すると法人登記の住所が公開されます。
自宅で仕事をしている個人事業主やフリーランスにとって、自宅住所を公開せずに済む点は大きなメリットです。
リモートワークが普及した
IT企業やネットショップなどは、必ずしも実店舗や事務所を必要としません。
オンラインで完結する業種では、物理的なオフィスを持たない企業も増えています。
バーチャルオフィスは怪しいと言われる理由
便利な制度である一方、「怪しい」と言われる理由もあります。
詐欺や悪質業者に悪用されるケースがある
犯罪ジャーナリストからは、詐欺や悪質商法の業者がバーチャルオフィスを利用しているケースが少なくないとの指摘もあります。
会社の実態が確認しにくく、トラブル発生時に所在が分かりにくいことが課題として挙げられています。
実態確認が難しい
帝国データバンクによると、今回調査対象となった住所では、登記された企業のうち事業活動が確認できた割合は約1%でした。
ただし、これは「残り99%が存在しない会社」という意味ではなく、第三者が事業実態を確認できなかった企業が多かったことを示しています。
銀行や融資審査で不利になる場合がある
金融機関では、バーチャルオフィスを利用している企業に対し、口座開設や融資の審査を慎重に行うケースもあります。
実際、地域金融機関の関係者からは「バーチャルオフィスの場合は追加確認を行う」といった声も寄せられています。
バーチャルオフィスは違法なの?
結論から言うと、バーチャルオフィス自体は違法ではありません。
実際に多くのスタートアップ企業やIT企業、副業事業者が利用しています。
一方で、一部の悪質業者が利用しているケースもあるため、「バーチャルオフィスだから怪しい」と決めつけるのではなく、
- 会社のホームページ
- 事業内容
- 実績
- 代表者情報
などを総合的に確認することが大切です。
ネットの反応
ネット上では、さまざまな意見が寄せられています。
肯定的な意見
- 起業時のコスト削減につながる
- 自宅住所を公開せずに済む
- IT企業には合理的な仕組み
慎重な意見
- 詐欺や悪質商法に悪用される恐れがある
- 実態確認が難しい
- 行政による監督を強化してほしい
- 銀行や融資で信用面の課題が残る
制度そのものを評価する声がある一方で、悪用を防ぐ仕組みづくりを求める意見も多く見られました。
まとめ
渋谷のビル1室で3000社以上が起業していた背景には、「バーチャルオフィス」という住所貸しサービスの普及がありました。
近年はリモートワークやITビジネスの拡大により、物理的なオフィスを持たない企業が増えています。
その一方で、詐欺や悪質業者による悪用、企業実態の把握の難しさなどの課題も指摘されています。
バーチャルオフィスは違法な制度ではありませんが、利用企業を判断する際には住所だけでなく、事業内容や実績なども含めて確認することが重要といえるでしょう。

