立憲民主党の古賀千景議員が国会で、「自衛隊に行く子どもたちは経済的に厳しい子どもたち」「豊かな子どもたちは自衛隊にならない」と発言し、大きな波紋を呼んでいます。
この発言に対し、小泉防衛大臣は「事実誤認だ」と強く反論し、古賀議員は発言を撤回して謝罪しました。
なぜこの発言は炎上したのでしょうか。また、自衛隊に入る人たちの実情はどうなのでしょうか。今回の経緯とともにわかりやすく解説します。
古賀千景議員の発言内容とは?
古賀千景議員は2026年6月15日の参議院決算委員会で、防衛省が学校などに配布している「まるわかり!日本の防衛〜初めての防衛白書〜」を取り上げ、学校における平和教育について質問しました。
その中で、
「自衛隊に行く子どもたちは経済的に厳しい子どもたちが行く」
「豊かな子どもたちは自衛隊とかならない」
と発言しました。
発言直後、委員会内がざわつくと、古賀議員は「失礼しました。訂正します」と述べたうえで、
「生活の厳しい子どもたちがいることを分かってほしい」
と説明を続けました。
さらに、防衛白書に北朝鮮、中国、ロシアの軍事動向が記載されていることに触れ、
「学校には北朝鮮・中国・ロシアの子どもたちも通っている。この子どもたちの目に触れた時にどのような傷を負うか」
と、小泉防衛大臣に質問しました。
しかし、一連の発言は大きな議論を呼ぶことになります。
小泉防衛大臣はなぜ「事実誤認」と反論した?
これに対し、小泉防衛大臣は、
「近隣の国々に対する配慮という前に、自衛官の子どもたちへの配慮に欠ける発言だったのではないか」
と指摘しました。
さらに、
「自衛官の子どもたちは、みんな貧しい家庭の子しかいないと言われたが、全くそういうことはない。事実誤認だと思う」
と強い口調で反論。
続けて、
「自衛官の子どもたちも学校に通っている。そういったことへの配慮や理解を広げることがまず最優先ではないか」
と述べ、古賀議員をたしなめました。
これを受け、古賀議員は、
「発言が申し訳なかったです。それは撤回させていただきます」
と謝罪しています。
なぜ炎上した?問題視された3つの理由
① 自衛隊員への偏見と受け取られたため
「経済的に厳しい家庭の子が自衛隊に行く」という表現が、自衛隊員やその家族に対する決めつけや偏見だと受け止められました。
「豊かな子どもは自衛隊にならない」という言葉についても、職業に優劣をつけているように聞こえるとして、批判の声が上がっています。
② 統計的な根拠が示されていないため
エコノミストの門倉貴史氏は、「経済的に厳しい子が自衛隊に行く」ことを示す統計データは存在しないと指摘しています。
また、個人の経験や一部の事例から全体を判断する「代表性ヒューリスティック(思い込みによる一般化)」による事実誤認ではないかとの見解を示しました。
自衛隊を希望する理由は人それぞれであり、「経済的に厳しいから自衛隊に行く」と一括りにして決めつけることはできないとしています。
③ 自衛官や家族の誇りを傷つけたと受け止められたため
自衛隊は災害派遣や国防を担う重要な組織です。
そのため、「貧しいから入る仕事」と受け取られかねない発言は、自衛官や家族の尊厳を傷つけるものではないかとの意見が相次ぎました。
SNSやコメント欄では、
「職業差別ではないか」
「自衛官の家族に失礼」
「経済事情だけで職業を選ぶ人ばかりではない」
などの声が多く上がっています。
元自衛官や家族からは「悲しい」「誇りを傷つけられた」との声も
コメント欄では、元自衛官や現役自衛官の家族からも複雑な思いが寄せられています。
約37年間陸上自衛隊に勤務したという元自衛官は、
「怒りというより、自衛官としての誇りを傷つけられたことへの深い悲しみを感じている」
とコメントしました。
また、自衛官の母親を名乗る人からは、
「私の息子はしっかり考えて自衛官の道を選んだ。貧しい人が自衛官になるという発想に驚いた」
という声も上がっています。
さらに、教員を名乗る人からは、
「教え子には『日本のために役立ちたい』『災害派遣で活躍する自衛官に憧れた』という理由で入隊した子もいた」
との意見も見られました。
こうした反応からは、多くの人が今回の発言を単なる失言ではなく、自衛官やその家族の尊厳や誇りに関わる問題として受け止めていることがうかがえます。
自衛隊に入る理由は経済的な事情だけではない
もちろん、安定した雇用や福利厚生に魅力を感じて自衛隊を志望する人はいます。
一方で、
・国を守る仕事に就きたい
・災害救助に携わりたい
・専門技術を身につけたい
・体を鍛えながら社会に貢献したい
といった理由で入隊する人も少なくありません。
自衛隊は国家公務員として安定した職業の一つですが、入隊理由は非常に多様であり、「経済的に厳しい人だけが選ぶ仕事」と断定できるものではありません。
まとめ
古賀千景議員の「経済的に厳しい子が自衛隊に行く。豊かな子どもたちは自衛隊にならない」という発言は、自衛隊員やその家族への偏見につながりかねないとして大きな批判を集めました。
小泉防衛大臣も「事実誤認だ」と反論し、古賀議員は最終的に発言を撤回して謝罪しています。
自衛隊にはさまざまな背景や志を持った人たちが集まっています。今回の騒動は、職業や家庭環境を一面的に捉えることの難しさや、多様な職業選択への理解の大切さを改めて考えさせる出来事となりました。

